アパレルの給料が低いと感じる理由は、業界の構造と手取り水準の低さにあります。
実際にアパレルで働くと、正社員でも手取りは18〜21万円ほどになるケースが多く、「生活はできるけど貯金が難しい」と感じやすいのが現実です。
私も店長として働いていたとき、手取りは約21万円でしたが、家賃や生活費、社販での出費を考えると、余裕のある生活とは言えませんでした。
この記事では、アパレルの給料が低いと言われる理由を解説します。
アパレルの給料が低いのはなぜなのか|3つの理由を解説
アパレルの給料が低い理由は、業界構造と給与の仕組みにあります。
ここでは、主な理由を3つに分けて解説します。
薄利多売の業界構造
アパレル業界は、構造的に給料を上げる原資がありません。
帝国データバンクの調査によると、アパレル関連企業の売上高経常利益率の平均は1.64%です。(参考:繊研新聞 アパレル関連企業の経常利益率)
つまり100円売り上げても、手元に残る利益は約1〜2円しかありません。
店舗運営にかかる主なコストは、以下のとおりです。
- 商品の原価
- 店舗の家賃・光熱費
- スタッフの人件費
会社に残る利益がこれだけでは、販売員の給料を上げる原資がそもそもありません。
個人の努力や成果に関係なく、業界の構造として給料が上がりにくい仕組みになっています。

資格不要で誰でも応募できるから給料が上がりにくい
アパレル販売員は資格不要で応募できるため、構造的に給料が上がりにくい業界です。
美容師や調理師など、同じサービス業でも資格が必要な職種は、給料の下限が守られやすい傾向があります。
一方アパレル販売員は、特別な資格も学歴も必要なく、未経験でも応募できる求人がほとんどです。
専門スキルが不要である以上、給料が上がりにくいのは業界を問わず共通した構造です。
私の職場でも、「服が好きだから」「接客が好きだから」という動機で入ってきたスタッフが多くいました。
「好きだから」という気持ちが、給料の低さを受け入れてしまう構造につながっています。
給料だけでなく、そもそもアパレルに向いているかを確認したい方はこちら。

何年働いても給料がほぼ上がらない
アパレル販売員は、年数を重ねても給料が大きく上がりにくい傾向があります。
厚生労働省の調査によると、卸売業・小売業全体の平均昇給額は月約12,000円です。 (参考:厚生労働省 令和6年賃金引上げ等の実態に関する調査)
一方、転職サービス「クリーデンス」の調査によると、アパレル販売職の年齢別平均年収は以下のとおりです。
- 25〜29歳:300万円
- 30〜34歳:331万円
- 35〜39歳:346万円
10年間で年収の上昇幅は約46万円、月換算すると約3,800円です。
卸売・小売業の平均昇給額の約3分の1以下という計算になります。 (参考:クリーデンス アパレル・ファッション業界の平均年収)
私自身も、入社時の手取りは約18万円、店長になっても約22万円前後でした。
数年かけてキャリアアップしても、手取りの差は約4万円ほどです。
「長く働けば給料が上がる」という構造ではないため、将来に不安を感じやすい職種です。

アパレル店員の給料・手取りの目安はいくらか
アパレル販売員の給料は、実際どのくらいなのでしょうか。
ここでは、データと私自身の体験をもとに、手取りの実態を解説します。
- 正社員の手取りは月18〜21万円が目安
- 店長クラスでも手取りは20〜21万円にとどまる
- アルバイト・パートの平均時給は1,154円、フルタイムで手取りは17〜18万円
- 社販によって実質の手取りがさらに下がる
正社員の手取りは月18〜21万円が目安
アパレル正社員の手取りは、月18〜21万円が目安です。(参考:厚生労働省 jobtag「衣料品販売」)
厚生労働省の情報によると、衣料品販売員の平均年収は約357万円で、ボーナスを除いた月給ベースで手取り計算すると、日本の平均年収460万円と比べて約100万円以上低い水準になります。(参考:厚生労働省 jobtag「衣料品販売」、国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査)
私が正社員として働き始めたころの実態は、以下のとおりです。
- 手取り:18万円前後
- 社販代:毎月最低1万円が給与から引かれる(個人による)
ボーナスの有無や会社規模・地域によって異なりますが、一人暮らしで家賃を払うと貯金がほぼできない水準であることは、当時も今も変わっていません。
アパレル正社員の手取りは、データでも実体験でも、生活にゆとりを持ちにくい水準といえます。
店長クラスでも手取りは20〜21万円にとどまる
店長に昇格しても、手取りが大きく上がるわけではありません。
転職セレクトなびの調査によると、アパレル店長の平均年収は約400万円(ボーナス含む)です。
ボーナスを除いた月給ベースで手取り計算すると、正社員販売員との差は月約2〜3万円にとどまります。(参考:転職セレクトなび「アパレル業界の給料&年収相場2025」)
私が店長として働いていたころの実態は、以下のとおりです。
- 手取り:21万円前後
- 正社員販売員のころとの差:約3万円
- 社販代を引いた実質の手取り:20万円を下回ることも
売上管理・スタッフ育成・シフト管理・本部対応とやることは増え続けるのに、給料への反映はわずかでした。
責任と給料が見合わないと感じ始めたのは、このころからです。
アルバイト・パートの平均時給は1,154円、フルタイムで手取りは17〜18万円
アルバイト・パートの手取りは、フルタイムで働いて17〜18万円が目安です。
株式会社マイナビの調査によると、アパレル・ファッション関連のアルバイト平均時給は1,154円で、フルタイム勤務(1日8時間・月22日)で計算すると月収は約20.3万円になります。(参考:マイナビ「2025年1月度 アルバイト・パート平均時給レポート」)
週3〜4日のシフト勤務の場合の実態は、以下のとおりです。
- 週3日勤務:手取り約8〜10万円前後
- 週4日勤務:手取り約11〜13万円前後
- ボーナスなし・昇給なし・退職金なしのケースが多い
毎月の手取りだけ見ると正社員と大きく変わらない一方で、ボーナスがない分年間で見ると正社員との差は広がります。
アルバイト・パートは働き方の柔軟さがある一方で、収入面での不安定さは正社員より大きいといえます。
社販によって実質の手取りがさらに下がる
手取りから社販代が引かれると、実質的な給料はさらに少なくなります。
多くのアパレル会社には、勤務中に自社商品を着用する義務があるためです。
私自身は仕事とプライベートを分けたかったので必要最低限しか買いませんでしたが、それでも毎月1万円前後の出費は避けられませんでした。
社販代が特にかさみやすいケースは以下のとおりです。
- ブランドが好きで、ついつい買いすぎてしまう人
- 入れ替わりが早いブランドで、こまめな購入が求められる人
着用義務がある以上、社販は「任意の出費」ではありません。
給料から自動的に消えていくコストとして考える必要があります。
アパレルで給料が低いまま続けるとどうなるか
給料が低いまま働き続けると、将来に大きな影響が出ます。
ここでは、生涯賃金のデータと私自身の体験をもとに、その実態を解説します。
このまま続けていいのかを考えたとき、こちらの記事も参考にしてみてください。

生涯で約5,000万円の差が生まれる
アパレルの給料が低いまま働き続けると、生涯でもらえるお金に大きな差が生まれます。
転職サービスdodaの調査によると、販売・サービス系の生涯年収は約1億6,935万円で、同調査の平均2億2,112万円と比べると約5,177万円少ない計算です。(参考:doda「平均年収ランキング(生涯年収・生涯賃金)」)
具体的な数字は以下のとおりです。
- 販売・サービス系の生涯年収:約1億6,935万円
- 同調査の平均生涯年収:約2億2,112万円
- 差額:約5,177万円
何年働いてもほとんど給料が上がらない構造の中では、この差は縮まりません。
貯金ができないまま年齢だけ重ねていく
給料が上がらない構造の中では、貯金を増やしていくことが難しいです。
アパレルの給料は何年働いてもほとんど上がりません。つまりその状態で今貯金できていないなら、続ける限りその状態は変わらないのです。
私が感じていた「お金がない」の実態はこうでした。
- 地域限定職のため家賃補助なし
- 一人暮らしで生活費を払うと貯金がほぼゼロ
- ボーナスで貯めても旅行やちょっとした贅沢ですぐなくなる
店長として消耗する毎日が給料に見合わないとずっと感じていました。
「今は若いからなんとかなる」と思っていても、給料が上がらない構造は変わりません。
このまま続けていいのかを一度立ち止まって考えることが、将来の自分を守ることにつながります。


アパレルの給料問題を解決する3つの選択肢
給料の低さは構造的な問題です。しかし、選択肢は必ずあります。
ここでは、今すぐ検討できる3つの解決策を解説します。
社内でキャリアアップを狙う
社内キャリアアップで給料を上げることは可能ですが、現実的には狭き門です。
アパレルの社内キャリアパスは大きく2つで、以下のとおりです。
- 店舗系:販売員→店長→SV(スーパーバイザー)※会社によってエリアマネージャーとも呼ぶ
- 本部系:MD・VMDなど(店長経験がなくても就くケースもある)
エリアマネージャーに昇格すると、店長より年収は上がります。
複数の調査では450万円前後を示すデータもありますが、会社規模やブランドによって差が大きいのが実態です。
また、本部系のルートでは、異動してもランクが上がらなければ店長手当がなくなり、逆に給料が下がるケースもあります。
社内キャリアアップは給料を上げる手段の一つですが、ポストの数は限られています。
本気で目指すなら、早いうちから上司に昇進意欲を伝えておくのがおすすめです。
給料水準が高い会社へ転職する
現在の会社より給料水準が高い会社へ転職することで、収入アップを狙える可能性があります。
アパレル業界の平均年収は約357万円ですが、会社によって給料水準は大きく異なるためです。
例えばユニクロを展開するファーストリテイリングでは、転勤なしの地域正社員でも初任給の年収が約447万円で、一般的なアパレル販売員の平均年収を大きく上回っています。 (参考:ファーストリテイリング 公式プレスリリース)
同じアパレルの仕事でも、会社を変えるだけで年収が大きく変わる可能性があります。
給料が高いアパレル会社への転職は選択肢の一つですが、給料だけでなく働き方や条件も合わせて確認することが重要です。
異業種へ転職する
異業種への転職は、アパレルの給料の低さという構造的な問題を根本から解決できる選択肢です。
クリーデンスの調査によると、アパレル・ファッション業界からの転職成功者の54%が年収アップに成功し、平均年収上昇額は約40万円でした。 (参考:クリーデンス アパレル・ファッション業界の転職時の年収変化)
アパレルで身につけた接客スキルやコミュニケーション能力は、異業種でも十分に活かせます。
アパレルと異業種の最大の違いは、給料の天井です。
アパレルは何年働いても給料がほぼ上がらない構造ですが、異業種では実績やスキルに応じて給料が上がる環境が整っている会社も多くあります。
私自身もアパレルを辞めて異業種に転職しました。
転職を考えている方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

アパレルの給料が低いと感じたら、まず選択肢を知ることから始めよう
この記事では、アパレルの給料がなぜ低いのか、そしてその問題をどう解決するかについて、データと私自身の体験をもとにまとめました。
給料が低い理由は、薄利多売という業界構造や、資格不要で参入障壁が低いこと、そして何年働いても給料がほぼ上がらない仕組みにあります。
これは個人の努力や頑張りではどうにもならない、構造的な問題です。
だからこそ、社内でのキャリアアップ・給料が高いアパレル会社への転職・異業種転職という3つの選択肢を知っておくことが重要です。
「給料が低いのは自分のせいだ」と思う必要はありません。
しかし、構造は変わらないので、自分が動くしかないのも事実です。
この記事が、その一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しいです。


