アパレル業界に将来性はある?15年働いた元店長が感じた現実と、私が出した答え

アパレルの仕事
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アパレル業界に将来性はあるか、結論から言えば業界はなくなりません。 

しかし、販売員としての「働き方」に未来があるかどうかは、別の話です。

市場規模のデータを見れば、国内アパレル市場は2024年に8兆5,010億円と4年連続でプラス成長を続けています。

一方で、現場の実感はまったく違いました。

人は足りない、夜のワンオペ営業でトイレにも行けない、育成も作業も後回し。

数字と現実のズレが、将来への不安につながっていたと思っています。

この記事では、15年間アパレル業界で働き店長も経験した私が、市場データと現場のリアルをもとにアパレル業界の将来性をお伝えします。

アパレル業界の将来性はあるのか|現状と市場データ

アパレル業界は今後も一定の需要が見込まれますが、働く環境には課題が残ります。

ここでは、市場規模や現状のデータをもとに、業界の将来性を解説します。

アパレル業界は成長を続けている

アパレル業界そのものがなくなる可能性は、極めて低いです。

国内市場は4年連続でプラスで、数字だけを追いかけると、服が売れないどころかむしろ需要は高まっています

実際の調査結果でも、以下のような数字が出ています。

  • 国内のアパレル市場
    • 2024年の市場規模は8兆5,010億円(前年比101.7%)と、着実に成長
  • ネット通販(EC)の拡大:
    • ネットで服を買うスタイルも当たり前になり、EC市場は2兆7,980億円まで広がってい
  • 世界的な予測
    • 世界規模で見ても、2034年まで安定して伸びていくという予測が立てられてる

(参考:矢野経済研究所「国内アパレル市場に関する調査」、 経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」Fortune Business Insights「アパレル市場規模」

市場として見れば、アパレル業界はなくなりません。

人が服を着る限り、この産業は続きます。

市場が成長と働く環境にはズレがある

市場が成長していることと、そこで働く環境が良くなることはまったく別の話です。

少子化・人材不足・働き方の変化という3つの課題が重なり、現場で働く販売員の負担は今後さらに増していきます

これらの課題はいずれも構造的な問題であり、短期間で解消される見込みがありません。

実際のデータを見てみると、その深刻さがわかります。

  • 少子化による働き手不足
    • 生産年齢人口の減少が続き、給与水準が低いアパレルは若い世代に選ばれにくくなっている
  • 人材不足はすでに8割超
    • 主要アパレル小売企業へのアンケートで、8割以上が「販売スタッフが不足」と回答
  • 構造的な問題として定着
    • 人手不足を感じる小売・サービス事業所の約7割が「構造的な不足」と回答
  • 現場の負担は減らない
    • EC化が進む一方、「人が店頭に立つ」モデルは変わらず、負担だけが増え続けている

(参考:内閣府「令和4年版高齢社会白書」、 WWDJAPAN「アパレル販売員「構造的な人手不足」をどうする!?」労働政策研究・研修機構「人手不足とその対応に係る調査」

業界はなくなりませんが、販売員として働き続ける環境が改善される見通しは、今のところないと言って良いでしょう。

【体験談】数字では見えない、現場のリアル

アパレル業界の課題は、データだけでは見えない現場の負担にも表れています。

ここでは、店長として働いていた経験から、リアルな現場の状況をお伝えします。

人手不足が解消されない構造的な問題

現場は、常に自転車操業でした。

人手不足は「今だけ」ではなく、ずっと続く構造的な問題です。

データでも8割以上の店舗が人手不足を感じていると出ていますが、実際に働いていた私の体感もまったく同じでした。

私のいた店舗では、遅番ができるメンバーがほぼ2人しかいなかったため、1人でも体調を崩したらその日のシフトが即崩壊します。

また、以下のような問題もあります。

  • 若い人やフルタイムの応募が年々減っている
  • パートの早番のみという応募が多く、シフトのバランスが取れない
  • 採用しても、戦力になる前に辞めてしまう

上からは「採用をがんばろう」と言われます。

しかし、採れればいいわけじゃないく、定着して戦力になるまでには時間がかかります。

その間も現場は回し続けなければいけないのに、育成に使える時間も人もいない悪循環がずっと続いていました

店長業務は後回し、それでも売上は落とせない

夜は1人で店舗を回すことも珍しくありませんでした。

1人で営業しているとき、できることは限られます

実際に困っていたことは、以下が挙げられます。

  • トイレに行けない
  • ストックの整理など裏作業が進まない
  • 夜に混雑しても1人で対応するしかなく焦る

1人で対応できる接客には限界があり、目の前のお客様を取りこぼしているかもしれないという不安が常にありました

それでも売上は落とせない焦りを抱えながら、店長としてやるべき育成やストック管理は後回しになっていきます。

現場に立つことは当たり前ですが、それ以外の仕事に手が回らない日が続いていました。

なぜアパレル販売員は「将来性がない」と不安になるのか

アパレルで働く中で、将来に不安を感じる人は少なくありません。

ここでは、その理由を現場の視点から整理して解説します。

30代・40代で突きつけられる「年齢の壁」のリアル

私は、30を過ぎたあたりから「この先どうなるんだろう」という感覚が頭をよぎるようになりました

体力面での変化は、じわじわと追いついてきます。

  • 立ち仕事の疲れが翌日に残るようになった
  • 遅番・早番のシフトが人員の都合に合わせる形になり、自分のペースで動けない
  • プライベートの計画が立てにくく、体調管理が追いつかなくなっていった
  • 同期や同世代のスタッフがいつの間にか転職や結婚でいなくなっていった

一番しんどかったのは、キャリアの先が見えなくなったことです。

店長の上のポストは限られていて、本部を目指すわけでもない自分には、この先に何があるのかがわかりませんでした。

ふと将来を考えたとき、「何歳まで店長として続けられるんだろう」という不安が頭から離れませんでした。

アパレルで働き続けた人なら、誰もが一度は感じることだと思っています。

責任と給料が見合わない「店長職」のジレンマ

店長になって一番感じたのは、責任の重さと給料の差でした。

店長になっても手取りの増加はわずかですが、背負うものは確実に増えていきます

特に大変だったのが、シフト管理と育成です。

  • 人が少ないのにスタッフの希望休も多く、シフト作成だけで消耗する
  • 自分の休みは確保できても、休んでいる間も気が気じゃない
  • 常に誰かにヘルプをお願いしないといけない状況が続く
  • そんな中で採用活動も同時に進めなければいけない

育成も、思うようにはいきませんでした。

人員が足りないときは教育どころではなく、とりあえず店頭に立ってもらうだけになってしまいます。

無理やりレジを教えてすぐ現場に出す、そんな状況に申し訳ない気持ちになることもありました。

それでも責任だけはずっとついてくるため、給料に見合っているのかと何度も考えました。

続けるほど深まる「このままでいいのか」という迷い

「あと半年で辞める」そう思い始めたのは、いつごろだったか正確には覚えていません

気づいたときにはずっとそう思っていましたが半年が過ぎても、1年が過ぎても、踏み出せないまま時間だけが経っていきました。

同じことの繰り返しの中で気づかないうちに心が限界を迎え、以下のような状態でした。

  • 「あと半年で辞める」と思い続けながら、何年も踏み出せなかった
  • 同じことの繰り返しで、じわじわと心が消耗していった
  • 最終的には休職することになり、もう戻れないと感じた

迷いがあるのに踏み出せない感覚はよくわかります。

しかし今思えば、「このままでいいのか」という迷いはずっと前から答えを出していたんだと思っています。

これを読んでいるあなたが今感じている違和感も、同じだと思います。

【解決策】業界の将来性よりも「自分自身の将来性」を優先するのがおすすめ

アパレル業界の将来性に不安を感じたときは、業界ではなく自分の将来性に目を向けることが重要です。

ここでは、今後の選択肢と考え方を具体的に解説します。

「アパレルしかやってこなかった」は大きな間違い

転職を考えたとき、私が一番最初に感じたのは「アパレルしかやってこなかった自分には何もない」という不安でした。

しかし、それはアパレルという枠の中だけで考えるから「何もない」と感じてしまうだけで、外に出てみると見え方はまったく変わります。

実際に転職してみて気づいたことは、以下のとおりです。

  • 15年間積み上げてきた経験は、業界が変わっても通用するスキルがたくさんあった
  • 当たり前にできていたことが、他業界では立派なスキルとして評価された
  • 「アパレルしか知らない」は弱みではなく、15年間一つの現場で磨き続けた強みだった

「アパレルしか知らない」と感じているなら、それはまだ自分のスキルを正しく見えていないだけかもしれません。

店長経験は他業界でも通用する「ポータブルスキル」の塊

実際に転職してみて気づいたのは、店長として当たり前にやってきたことが、他業界では立派なスキルとして評価されるということでした。

アパレルで15年間積み上げてきた業務を書き出してみると、思っていた以上にたくさんありました。

具体例を挙げると、以下のとおりです。

  • 数値管理・分析力
    • 常にデータを見て判断する習慣が、そのまま業務に直結した
  • スケジュール管理力
    • 複数の案件を並行して進める際に、店長時代の段取り力が生きた
  • 教育と言語化力
    • スタッフに指導してきた経験が、物事を分かりやすく伝える力になった
  • ニーズを読み取る力
    • 接客経験が、相手が本当に求めていることを察する力に繋がった
  • 丁寧な振る舞い
    • 仕事のやりとりで「丁寧で信頼できる」と評価されることが増えた

「アパレルしかやってこなかった」と思っていた自分が、これだけのスキルを持っていたことに転職して初めて気づきました。

具体的な転職の準備や進め方は、以下の記事で詳しくお伝えしています。

アパレルを何歳まで続けるかより、今の自分に正直になろう

アパレル業界の将来性は、市場データだけを見れば「なくなる業界ではない」というのが答えです。

数字の上では成長を続けており、服が売れなくなる未来はそう簡単には来ません。

しかし、この記事で伝えたかったのはそこではありません。

業界の将来性と、そこで働くあなた自身の将来性は、まったく別の話です。

人手不足は構造的な問題で解消される見込みがなく、責任だけが重くなり、給料は上がらない現実は、市場がどれだけ成長しても変わりません

アパレルで積み上げてきた経験は、どこへ行ってもあなたの武器になります。

迷っているなら、動いたほうがいいです。

業界の将来性を調べる時間があるなら、自分自身の将来性に目を向けてみてください。

今のあなたが感じている違和感は、正しい直感だと思います。