アパレル店員として年を重ねても、続けることは可能です。
とはいえ、年を取ったらどうなるのか漠然と不安に感じている方は多いのではないでしょうか。
実際に体力的な限界や給料の頭打ち、将来への不安は年齢とともにやってきます。
この記事では、私自身15年間アパレルで働いてきた経験から、年を取ったアパレル店員が直面するリアルをメリット・デメリット両面からお伝えします。
アパレル店員が年を取ったらどうなるのか、現場で見てきたこと
アパレル店員は年齢を重ねるにつれて、キャリアや働き方に大きな分岐点を迎えます。
ここでは、実際に現場で見てきたリアルな変化や選択肢について解説します。
キャリアの選択肢は店長・エリアマネージャー・本部異動の3つしかない
アパレル店員のキャリアアップの道は、実はかなり狭いです。
アパレル業界の組織構造がシンプルなため、上に行ける人数が限られています。
現場のスタッフが目指せるキャリアは大きく3つで、店長・エリアマネージャー・本部異動がほぼすべてです。
15年間現場にいた私が見てきた限り、この3つ以外のキャリアパスはほとんど存在しませんでした。
- 店長
- 以前はポストが限られていたが、最近は人手不足の影響で声がかかりやすくなっている
- なれたとしても給料への反映は限定的なことが多い
- エリアマネージャー
- 複数店舗を管理するポジションで、さらに狭き門になる
- 本部異動
- バイヤーや商品企画などへの異動だが、募集枠が極めて少ない
上に行けるポストが少ない分、残るか出るかの判断を迫られる時期が必ずやってきます。
本部を目指さない場合、転職か現場を続けるかに自然と分かれていく
本部を目指さなかった場合、その後のキャリアは転職か現場を続けるかに自然と分かれていきます。
アパレル業界には年功序列で給料が上がる仕組みがほとんどなく、ポジションが変わらない限り収入も立場もなかなか変わらないためです。
私の周りでも、30代半ばを過ぎたあたりから以下の形で分かれていきました。
- 転職を選んだ人
- 異業種に飛び込み、アパレルの経験を活かして新しいキャリアを築いた
- 現場に残り続けた人
- 好きなファッションに関われる環境を選んだが、収入面での不安は続いていた
- フリーランスに転向した人
- 接客や販売の経験を活かして、SNS運用やスタイリストとして独立した
だからこそ、現場を続けるにしても転職するにしても、30代のうちに一度自分のキャリアを見直しておくことが大切です。
30代・40代で現場に残り続けると体力と給料の両方で限界が来る
現場に残り続けることを選んだ場合、30代後半から40代にかけて体力と給料の2つの限界が同時にやってきます。
アパレルの仕事は立ち仕事・接客・在庫管理など体を使う業務が中心なので、年齢とともに負担が増える一方です。
私自身も30代半ばで体力の衰えを感じ始めたのが、転職を決めた大きな理由のひとつでした。
さらに給料面でも、厚生労働省のデータではショップ店員の年収は40〜49歳で約409〜412万円とほぼ横ばいになり、50代以降は下がり始めています。(参考:厚生労働省「job tag 衣料品販売」)
体への負担が増える時期と、給料が頭打ちになる時期が重なるのがアパレル現場の現実なのです。
年を取ってアパレル店員を続けるデメリット・リスク
年齢を重ねながらアパレルを続けると、見えにくかったリスクや負担が徐々に大きくなります。
ここでは、実際に感じやすいデメリットや注意点を解説します。
年を重ねるほど「このままでいいのか」という気持ちが強くなっていく
アパレルの現場は、将来の見通しが立てにくいため、年を重ねるほど「このままでいいのか」という気持ちが強くなっていきます。
実際に私の周りでも、将来への不安から婚活を機に退職していった人を何人も見てきました。
私自身は結婚の予定もなかったので、「このままでいいのか」という気持ちをずっと抱えたまま働き続けていました。
具体的に感じていたことは、以下のとおりです。
- 数年後の自分のキャリアがまったく想像できなかった
- 結婚退職という選択肢もなく、出口が見えないまま働き続ける日々だった
- 周りが辞めていくたびに、自分だけ取り残されているような感覚があった
「このままでいいのか」という問いに答えを出せないまま、時間だけが過ぎていくのがアパレルの現場の現実です。
自腹で服を買い続けるコストが、年々負担になっていく
アパレルで働く以上、自分自身がブランドの顔になるため、服を買い続けることは半ば義務のようになっています。
アパレルでは自ブランドの着用義務があり、自分がそのままブランドの顔になるためです。
年を重ねるほどこの出費は積み重なっていきます。具体的に感じていたことは、以下のとおりです。
- 自分のブランド以外にも好きなブランドがあるのに、出費の優先順位を下げざるを得なかった
- ブランドのテイストが自分の好みと合わないときは、買うこと自体がストレスになった
- 家族や友人に譲っても服は増え続け、クローゼットが常にパンパンだった
ブランドが好きであれば楽しめる部分でもありますが、そうでない場合はコストとストレスが重なっていきます。
連勤や立ち仕事のきつさが、年齢とともに増していく
20代のころは6連勤をこなしても翌日には回復できていたのに、年齢を重ねるにつれてその感覚が変わっていきました。
体力の回復速度が年齢とともに落ちていくためです。
私自身も30代になってから、連勤明けの疲れが抜けるまでに時間がかかるようになったと感じていました。
具体的に変わったと感じた場面は、以下のとおりです。
- 6連勤をこなせていた20代と違い、30代になると連勤後の疲れが翌日まで残るようになった
- 長時間の立ち仕事で足腰への負担が蓄積し、休日も疲れを引きずるようになった
- 繁忙期のシフトをこなすたびに、回復までの時間が年々長くなっていった
体力の衰えは少しずつ進むため気づきにくいですが、気がついたときには「昔はこんなにきつくなかった」と感じるようになっています。
年を取ってもアパレル店員を続けるメリット
年齢を重ねてもアパレル店員として働き続けることには、経験を積んだからこそ得られる強みがあります。
ここでは、現場で実際に感じたメリットについて解説します。
同年代のお客様から信頼されやすくなる
年を重ねることで、同年代のお客様の悩みに自然と共感できるようになります。
若いスタッフでも同世代のお客様には共感できますが、年齢を重ねたスタッフは若い頃の悩みも今の悩みも両方わかるためです。
体型の変化やライフスタイルの変化など、年齢を経ないとわからない悩みに寄り添えるのは、長く働いてきたからこその強みです。
具体的には、以下が挙げられます。
- 20代のスタッフには共感しにくい、30代・40代のお客様の体型や似合うスタイルの悩みに寄り添える
- 若い頃の悩みも今の悩みも両方わかるので、幅広い年齢層のお客様に対応できる
- 年齢を重ねた経験そのものが、お客様の安心感につながる
経験を積んだ分だけ、お客様との距離が縮まりやすくなるのがアパレルを続けるメリットのひとつです。
見られる仕事だからこそ、自然と若々しくいられる
アパレルの仕事は、自分自身が見られる仕事です。
そのため、身だしなみを整える習慣が自然と身につき、結果として若々しさを保つことにつながります。
私自身もアパレル時代は、以下のようなことを意識していました。
- 定期的に美容室に行き、髪型を常に整えるようにしていた
- 服装に合わせてトレンドのメイクやネイルを取り入れるようにしていた
- 清潔感を意識することが習慣になり、自然と身だしなみに気を使うようになった
仕事を通じて自分磨きの習慣が身につくのは、アパレルを続けるメリットのひとつだと思っています。
好きなファッションに関わり続けられる
アパレルを続ける一番のモチベーションは、やはり好きなファッションに毎日関われることだと思っています。
元々服が好きだからこそアパレルの仕事を選んだ人がほとんどで、その気持ちは年齢を重ねても変わらないからです。
具体的に嬉しいと感じる場面は、以下が挙げられます。
- 好みの新作が入荷するたびに、自然とモチベーションが上がる
- 毎日ファッションに触れる環境が、服への興味や知識をさらに深めてくれる
- 好きなものに囲まれて働けることが、仕事のしんどさを和らげてくれる
私自身も新作をチェックするのは純粋に楽しかったです。
好きなことを仕事にしている強みは、年齢を重ねても色あせないアパレルならではのメリットといえます。
将来に備えて、アパレル店員のうちにやっておくべきこと
アパレルで働いている今のうちに準備しておくことで、将来の選択肢は大きく広がります。
ここでは、転職やキャリアチェンジに向けて意識しておきたいポイントを解説します。
今の仕事で数字として語れる実績を作っておく
アパレルの経験を転職で活かすためには、感覚的な話ではなく数字で語れる実績を作っておくことが大切です。
異業種の採用担当者はアパレルの仕事を知らないため、数字で示すことで初めて説得力が生まれるからです。
働いている間から意識して数字を記録しておくと、転職活動の際に武器になります。
意識しておきたい数字の例は、以下のとおりです。
- 客単価
- 接客を通じて客単価をどれだけ上げられたか
- SNSの実績
- 個人アカウントで発信している場合、フォロワー数やエンゲージメント率も立派な実績になる
- スタッフの育成実績
- 何人育成したか、売上にどう貢献したか
「なんとなくうまくいった」ではなく、数字として残しておくことが、転職活動での差別化につながります。
アパレル以外のスキルを少しずつ積み上げておく
アパレルの仕事をしながらでも、少しずつアパレル以外のスキルを積み上げておくことが将来の選択肢を広げます。
アパレルの経験だけでは、異業種への転職で差別化しにくい場面があるためです。
私自身はパソコンスキルを独学で身につけていたことが、転職後に役立ちました。
具体的に役立ったスキルは、以下のとおりです。
- ExcelやWordの操作スキルは、事務・経理・バックオフィス職への転職で即戦力になった
- マニュアルや資料作成の経験は、どの業界でも通用するビジネススキルになった
- 独学で身につけたスキルでも、実務で使えるレベルであれば十分な武器になる
特別な資格がなくても、日々の仕事の中で意識してスキルを積み上げておくことが、将来の自分を助けてくれます。
悩みが業界構造からくるものなら、早めに動き出すほうがいい
アパレルで働いていて感じる悩みには、自分の努力で解決できるものと、業界構造的に解決できないものの2種類があります。
業界構造からくる悩みは、どれだけ頑張っても個人の力では変えられないからです。
自分で解決できる悩みの例は、以下のとおりです。
- 接客スキルが足りない→勉強や経験を積むことで改善できる
- 商品知識が足りない→学ぶことで解決できる
一方で業界構造からくる悩みは、個人の努力では解決しにくいです。
業界構造からくる悩みの例は、以下が挙げられます。
- 人員不足による慢性的なシフトのきつさ
- 給料が上がりにくい業界全体の構造
- キャリアアップのポストが限られている現実
私自身が感じた業界構造的な問題は人員不足でした。
シフトを工夫しても、頑張っても、根本的な人員不足は自分の力ではどうにもならないと気づいたのが、転職を考えるきっかけのひとつになりました。
「これは自分次第で変えられる問題なのか」を一度立ち止まって考えてみることが、後悔しない選択への第一歩です。
年を取ってもアパレルを続けられるが、早めに将来を考えておくのがおすすめ
アパレル店員として年を取ることは、決して悪いことではありません。
同年代のお客様から信頼されやすくなり、見られる仕事だからこそ自然と若々しくいられるメリットもあります。
一方で、連勤や立ち仕事のきつさが年々増していくことや、給料が頭打ちになる現実、「このままでいいのか」という気持ちが強くなっていくのも事実です。
大切なのは、今感じている悩みが自分の努力で解決できるものなのか、業界構造からくるものなのかを一度立ち止まって考えてみることです。
私自身も「このままでいいのか」という気持ちを長く抱えたまま働き続けた時期がありました。
気づいたときに動き出せる自分でいるために、今のうちから準備しておくことをおすすめします。





